先住犬がいて、多頭飼が出来るかどうかは先住犬次第です。2頭目を迎えられるかどうか、いくつか判断のポイントがあります。
先住犬は社会性に問題がなくバランスが取れている
他人や他の犬と仲良く出来ることが大前提であり最も重要なポイントです。
もし他の人を怖がったり犬を怖がったりしていたら、その恐怖や緊張感が新しくきた子犬に伝わり、その怖がっているものが本当に「怖い」と認識してしまう可能性があります。 人間でもそうですよね。例えば二人で夜道を歩いていたとして星空もきれいで気持ちいいなと思っていた時、急にもう一人が何もないのに怖がり出したら自分も怖くなると思います。逆にすごく明るい友達とお化け屋敷に行って、友達が出てくる仕掛け全部に笑っていたら怖さが薄れると思います。犬も同様で、その場の雰囲気によって精神状態が左右されます。ここでもし2匹が結託して「2匹対外の世界」という図式が出来上がってしまうと、結構大変な事になりかねません。
先住犬のしつけが飼い主の満足できるレベルに達してるか
無駄吠え、トイレ問題、散歩の引っ張り、噛み癖等、問題行動は犬同士で教え合う事もあり、今までの問題が2匹目を迎えた事により2倍になってしまう可能性があります。
例えば無駄吠えは、1匹が吠えるとそれに釣られて、2匹目も吠え始めます。小さい時は吠えない子が多いですが、人が来る度に吠えている先住犬を見て育つので、その内同じ様に吠え始めます。3ヶ月の若さでも吠える犬がたくさんいる環境のブリーダーさんからきた子犬が、家にきたその日から常に吠えてしまっている、というケースに出会ったことがあります。逆に静かな環境から来た子犬で10ヶ月まで一度も吠えた事がないという子もいます。
何より今まで1匹に集中して愛情を注いでしつけをできていた所に2匹目が来たことで、しつけの面でも目が届きにくくなってしまうので、先住犬に先にしっかり色々と教えてあげる事が大切です。先住犬が良い手本となれるくらいになっていれば、新しくきた子犬もその先住犬の背中を見て育つので、2匹とも良い方向に進むと思います。
先住犬の犬種と新しい子犬の犬種
これはそれほど重要ではありませんが、せっかく多頭飼をするなら先住犬も一緒に遊べる犬種を選ぶと良いでしょう。もちろん同じ犬種であれば遊びのツボが似ているのでより過ごしやすくなる可能性もありますが、先住犬の性格や年齢によるところもあります。
先住犬が心理的に安定してるか
分離不安であったり飼い主にずっとべったりな犬は、新しい犬が突然自分の空間にきた段階でストレスを感じてしまいます。今まで一人占めに出来ていた色々なものや空間を2匹で分けることになり、それによるストレス等から問題行動を起こしてしまったり、何とか構って欲しいためにいつもトイレを失敗しないのに失敗してしまったり、仮病で足を痛めたフリをする犬もいます。先住犬が自立していることで、もう1頭もスムーズに迎え入れることができます。
先住犬との年齢差
シニアやプレシニアの時期に子犬を迎えると年齢差がありすぎて、先住犬が対応に困ってしまう事があります。エネルギーの違いもあり結構嫌がる犬もいます。逆に歳が若い先住犬であればすぐ仲良く遊べると思いますが、ここでも結託の注意が必要です。結託する理由の一つは犬同士で遊んでいる方が面白いし、遊んでくれない飼い主がつまらなくなるからです。結託したから凶暴になるとかではなく、犬同士で遊んでいる時に呼び戻しの「おいで」が効かなかったり、無視される事が多くなるでしょう。そこは飼い主がうまく調整すれば大丈夫です。
今まで色々見てきた経験からすると、先住犬が2歳から5歳の間で新たに犬を迎えると良いと思います。年が離れている場合はシニアの犬が嫌な思いをしないよう、よりしっかりと配慮してあげると良いでしょう。
先住犬の性別
先住犬がオスで去勢済みで、新たに迎えるオスを未去勢のまま一緒に住む場合、仲が悪くなるケースがあります。
未去勢の犬は去勢済みの犬の上に立とうとするので、上下関係が複雑になり喧嘩になりやすくなってしまいます。去勢の有無関係なくオス同士の上下関係のトラブルは最初あると思いますが、飼い主がちゃんとリードしてあげて立場がはっきりすれば足並みが揃うはずです。
同じく上下関係が厳しいのは姉妹同士です。本来であれば小さい時から巣立って別々の道へすすむのが自然の流れですが、それが出来ないとライバルとなりお互いを追い出そうとして、とても激しい争いが始まる可能性があります。最悪の場合どちらかが死ぬまで戦う事もあります。
もしペットショップやブリーダー(良いブリーダーは姉妹を同じ家庭には譲らないはずです)で姉妹が同時に売られていても、どちらかを選んでまた違う犬を選ぶ方がお勧めです。
ちなみに姉妹でも年が離れていれば大丈夫です。
飼い主自身に時間と気持ちの余裕があるか
犬が増えるという事は子犬に一から色々と教えていく必要があり、その分の時間を費やしながら先住犬の面倒も見ないといけません。どちらか疎かになると可哀想だけではなく、問題行動も増える可能性があります。
必ずしも上の条件に満たして無くても大丈夫?
大丈夫ですお勧めしません。
大丈夫な場合は、飼い主や家族がちゃんと先住犬を含めリーダーシップを発揮できるか、もしくは新しく迎える子が先住犬の問題行動や心理的状況を上回り逆にリードしてあげられるかによります。
スカイラボにも先住犬が犬嫌い、または人嫌いの犬のしつけ相談を受けたことがありますが、2匹目が真逆の性格で逆にリードして安心させられる犬もいて克服できる事が出来ましたが、色々と条件が合わないと上手くいきにくいです。
あまり犬を家に迎える事が無い先住犬に、どう紹介すれば良いか?
できれば中立な場所で対面させて一緒に連れて帰るようにするのがベストです。
「中立な場所」とは、基本的に先住犬もあまり行った事ない所や自分の陣地として認識していない所です。そこでいつもの散歩で他の犬と挨拶する感じで交流させて一緒に連れて帰るという流れを作って家に連れて帰れば、警戒心なく家に入れる事ができるはずですが焦らずゆっくり慣れさせるのが良いでしょう。
ちなみに、スカイラボの場合はスカイがくる前にいた猫のそらちゃんが、スカイに甘噛みはダメなことやしつこくすることはダメなど、鋭い猫パンチで教えてくれていました。遊びの度があまりにも過ぎた時、そらちゃんの猫パンチが一発炸裂。少し出血しましたが、スカイはそれで距離感を学び、最終的に一緒に寝られるまで落ち着いて過ごせるようになりました。それが始まりで、そこからスカイが次にきたアイラに教えて、ロナとジュラは両親であるスカイとアイラに教えてもらいました。一方ジローは先輩猫のそらちゃんに教えてもらい、先月迎えたフィオナは、先輩犬のアイラとジュラの優しさと、スカイとロナの厳しさに成長させてもらっています。
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